『ベビーカー・イノベーション』飯田美恵子さんの教えてくれること
幻冬舎から発行された『ベビーカー・イノベーション』(飯田美恵子著)を読みました。
ひとりの若い女性が 起業し幾多の困難を乗り越えて成功を収めるというストーリーですが、この本からは単なるビジネス書として括られる以上に、人として生きる上でとても大切なことを教えてくれます。
『ベビーカー・イノベーション』の飯田美恵子さん(以下〝美恵子さん〟と称します)にとっての原点はベビーカーに乗ってのお母さんとの散歩。細長くて甘いパンを買ってもらい、四季折々の街の風景が幼き日の美恵子さんの五感を育んだようです。
そして、洋裁好きのお母さん手作りの服を着てのお出かけが、のちのファッションセンスやアパレルへの関心のきっかけになったこと。やはり、そのひとの成長のなかで親の影響は大きいことを教えてくれます。
美恵子さんのお父さんは転勤が多く、美恵子さんは転校生として多くのいじめにあったそうです。それが原因で不登校にもなりました。けれど、どうすれば、いじめから逃れられるか考えて実行に移します。
積極的に自己開示をして、むしろクラスの人気者になって行きます。
子どものときに周りが認めてくれる術を体得することが、のちのビジネスシーンで活きてくることは言うまでもありません。
ブロック玩具で家を作るのが好きで、だんだんとエスカレートして、家にある食器棚のガラス扉をすべて外してしまって食器棚まるごとをマンションに見立て、巨大なドールハウスにしてしまったくだりには笑ってしまいました。
また、プラモデルの車を作るのですが、ただ設計図通りに作るのでは飽き足らず、パーツとパーツを組み合わせて何か別のものを作るというのも、その後のビジネスを考えると、子どもの頃に基礎が出来ていたように思えます。
とても興味深いエピソードとして、中学生時代の文化祭で教室の隅に自分の店を出したところ大成功を収め、自分の作品が売れることの喜びを知ることがありました。美恵子さんは偶然知ってしまったと書かれていますが、口コミで人が集まりファンとなる、そのファンのチカラが、商品のファン、経営者のファン、社員のファン、スタッフのファン、そして会社のファンとなって、これら全てがものすごいチカラを持っているということになる。という、その後の人生を大きく左右させるような真理を会得するんですね。
いやあ凄いです。
小学生の頃から学校へ着ていく洋服を1週間分コーディネイトしてみたり、徐々に楽しむことがエスカレートしていき、デパートへ行っても子供服売り場ではなく、大人の服売り場へ行ってはあれこれと一式をお母さんにおねだりしていたのですから、本当に洋服やファッションが好きだったのですね。
それが、高校生くらいになると、美恵子さんの将来への夢となっていきます。
洋服のデザイナーになること。
小さな頃から何かを作り出すこと、そして自らの手で生み出したものを世の中へ送り出すこと。
その夢に向かって、青春を懸命に生きて行きます。
つかんだ幸せと挫折。
そして、
失った自信と気持ちの整理を求めたハワイへの旅。
そこで偶然出会ったベビージョガー。
ランニングウェアを身にまとい、ブロンドの髪をふわりとなびかせて、タイヤの大きなベビーカーを押しながらジョギングする女性を追いかけて、
「これは何?」
と、尋ねる美恵子さん。
旅先でのちょっとした偶然からの出会い。
美恵子さんが持って生まれた好奇心、知らないものを知ろうとするチカラ。
この時のとっさの行動がこののち『AIRBUGGY』を生むことになります。
もちろん、この時これから先のことを美恵子さん自身も知りません。
けれど、この瞬間に美恵子さんの人生における第2章の幕が開いたのだと思います。
これまでの人生(第1章)幼少期や子どもの頃、好きなことやモノへの好奇心と探究する行動力、そして人に認められるための心得や姿勢、人やモノに対するファンのチカラの凄さ。
青春の日々を好きなことに対して全力で向き合って来たからこそ、他の人からみれば何げない日常の一コマが第2章の幕開けとなり、そこから生まれた『AIRBUGGY』が、とてつもない幸せを多くの人に分けあたえることになったのだと思います。
飯田美恵子さんの著書『ベビーカー・イノベーション』から、私たちは多くの生きるヒント、それも豊かに生きるヒントが得られると思います。
とりわけ、『好きなこと』を徹底的に行うこと。
それには、『好きなこと』をみつけないとね。
そうすれば、「豊かな人生を送る権利は得た」といえるのではないでしょうか?
飯田美恵子さん、ありがとうございます。
これからのご活躍をお祈りいたします。