映画館の未来
営業部、天野です。
映画館の老舗である、神保町にある岩波ホール。
今年の7月に54年の歴史に幕を閉じることが決まっています。
岩波ホールでは商業ベースになりにくい、世界中の埋もれたアート映画、ドキュメンタリー作品をメインに上映していました。
映画は文化。儲けは考えないというスタンスで、上映された映画は65カ国、271作品にもなります。
現在上映中の「メイド・イン・バングラデシュ」を見てきました。
日本でも販売されてる、ファストファッションの安いTシャツ。
それを作るためにバングラデシュの縫製工場で、女性たちがどんな過酷な労働をしてるか?
事実をベースに作られた物語。
すでに故人ですが、岩波ホール開館時から総支配人だった高野悦子さんの言葉。
「映画を通じて、真の国の姿を理解することが大切」
「世界の平和を考える時、公平な広い視野を持つことが必要です」
今、世界で何が起きてるか?映画を通して伝えようとする姿勢が、よくわかる作品のチョイスだと思います。
さて映画業界の中では2019年頃から、映画館と動画配信サービスの会社との対立構造がありました。
早く話題作をネットに上げたい配信サービス側と、映画館にお客が来なくなるじゃないかと考える映画館側。
2019年に初めてNetflixオリジナル作品の「ROMA ローマ」がアカデミー賞にノミネート。
しかしこの作品は映画館側、制作側からもテレビ映画だ!などの批判が多く、まだ配信側が不利と考えられていました。
そこに起こったコロナによる映画館の営業制限。アメリカでのチケット売上は1/4にも低下し、徐々に配信側に追い風が吹きます。
Netflix初め、配信サービス側も質の高いオリジナル作品を作り、監督・製作陣も配信側に流れていきます。
ディズニーも新作を映画館より配信を先にする動きを見せました。
そして今年のアカデミー賞。
アップルが配給する「コーダ あいのうた」が作品賞を取り、ライバルとして競った作品はNetflix配給の「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
映画館と配信サービスは対立から共存へシフトしましたが、映画は映画館で観るものという常識は消えつつあります。
この流れは時代を考えれば当然かも知れません。しかし映画館好きの私からするとちょっと寂しい気持ちもあります。
そんな中、最近初めて行った映画館があります。
田端にある、シネマチュプキです。
ここでは映画の売上がそのままウクライナの難民支援になるという、変わった特集上映が気になり見に行きました。
行ってみて驚いたのが日本初、目や耳の不自由な人、車椅子の人などどんな人でも楽しめるように作られた映画館ということ。
座席には音声解説用のイヤホンが設置。手作り感満載の暖かい映画館でした。
ここに来て映画館の役割、まだまだあるなぁーと気付きました。
最後にシネマチュプキのHPに載っていた、今月のテーマ(名言)より
「私たちは皆、互いに助け合いたいと思っている。人間とはそういうものだ。相手の不幸ではなく、お互いの幸福によって生きたいのだ」
チャールズ・チャップリン
それでは皆さんも良き映画館体験を!